115回 医師国家試験を終えて

ご無沙汰しております。
 
2021年2月6日と7日に115回 医師国家試験が実施され、受験してきました。
 
今年はコロナ禍により、国試の開催にあたり大きな変更がありました。1つは、コロナ感染者は今年度の受験資格を失う、という明らかに都市部の医学生に不利な条件を突きつけられたこと、もう1つは、受験会場の変更により四国脱出を余儀なくされたこと、等がありました。まあ、これもお役人様が決めたことですから、我々末端の人間は従わざるを得ませんでしたが、もう少し賢いやり方はなかったものかとも思います(決して厚労省に歯向かっているわけではありませんよ笑)。
 
さて、115回 医師国家試験の振り返りと、今年度の自分の反省をしていこうと思います。しばしお付き合いください。
 
① 115回 医師国家試験の振り返り
 
例年通りの問題数と時間設定で施行され、特段変更は無かったようです。出題傾向や問題のレベルに関して、「例年と比べてどうだ」ということは、私の勉強の仕方が特殊だったこともあり(※勉強法に関しては後述)あまり分からないのですが、他の受験生たちの声から察するに、今年は少し難化したようです。
 
因みに私の結果ですが、必修90%(偏差値45.4)、一般臨床84.3%(偏差値56.7でした。(※medic media 講師速報より)
直前の模試の成績がそれほど良くなかった為、少し心配していましたが、本番はしっかりと得点できていました。体感では手応えのある問題が半分くらいしかなかったので、落ちたかもなーと思っていましたが、今回は運が良かったようです。これも皆さんの応援のお陰です。
 
直前模試の結果を掲載しておきます。良ければ参考にしてください。(6年夏模試は1年くらい国試勉強放置しててほぼ無勉で受けたのでノーカンで。)
 
  1. medic media模試(2020年12月1日, 2日実施)
必修87.5%(偏差値48.4) 一般臨床75%(偏差値49.6)

f:id:sintaro515:20210208173041j:plain

2020年度 medic media模試 成績表
 
  1. 冬MEC模試(2021年1月6日、7日実施)
必修78.5%(偏差値41.6) 一般臨床75.7%(偏差値50.4)

f:id:sintaro515:20210208173145j:plain

2020年度 冬MEC模試 成績表
 
② 今年度の振り返り
 
良かった点
  1. 自分の勉強法を確立できたこと。
  2. 興味のある分野を増やせたこと。
  3. 他人の意見や評価を鵜呑みにしなくなったこと。
 
反省点
  1. 体験的な学びが少なかったこと。
 
まず良かった点から。
「1.自分の勉強法を確立できたこと」に関しては、USMLE模試の結果が大きいと思ってます。あの人生最大の挫折をきっかけとして、これまでの勉強法の何が間違っていたのか、そして、優秀な人のマインドセットや勉強法について「今一度学び直さなくては」と思えたことが、大きなターニングポイントになったと思います。様々な人の意見を参考にしながら実践した結果、自分なりのある結論に辿り着きました。それは、『情報量が多いときこそ、一つずつ丁寧に理解し記憶していくべき』ということと、『記憶は脳に汗をかいた分だけ定着する』ということです。
それに気付けたのは、『Anki』という暗記用学習アプリに出会えたからです。このアプリは、多くのUSMLE受験者が愛用している、もはや必須とも言うべき学習ツールですが、この効果が私にとって絶大でした。私は何度も問題集を周回することで暗記していくタイプだっただけに、1つのことをしつこく何度も覚え直すこのアプリのシステムに対して、導入時はかなり懐疑的でした。しかし、騙されたと思ってしばらく使ってみると、程なくしてその効果が顕著に現れ始めました。「新たな知識は、既存の知識の上に積み上げていくことで習得できる」ということを体験的に学べたように思います。
樺沢紫苑先生の名著「アウトプット大全」でも書かれているように、「インプット3割、アウトプット7割の法則」は勉強において大変重要であり、つまるところ学力は「どれだけ知識を入れたか」ではなく、「どれだけ知識を活用したか」によってほぼほぼ規定されるようです。『Anki』を活用することは、強制的にインプット時間を短縮し、アウトプット時間を増やすことに繋がります。しかも、忘れかけたタイミングで復習を強要されるので、脳にとってはかなりの負担を強いられます。これが「脳に汗をかかせる」ということであり、記憶の定着には最も効率良く機能します。
また、AnkiのUXはさることながら、UIも抜群に優秀です。シンプルなデザインに、タブレットとの相性の良さ、またPCでも同様に違和感なく扱える互換性の高さが私的にポイント高いです。クラウド管理されているので、万が一デバイスが故障した場合でも学習を中断することなく利用できます。さらに、オンライン問題集やデジタル資料との相性も良いです。コピー&ペーストで簡単に問題が作れますし、Goodnotes等のノートアプリでスクショ画像を編集して穴埋め問題風にアレンジすることも可能です。

 

国試に関して言えば、私はクエバンの1周目問題しか解いていませんが、問題の解説や関連資料からAnkiの問題を複数作成していたので、周辺知識はその1問を解いただけでほぼ網羅できます。なかなか前に進まなくて効率が悪いように見えますが、情報量が多い時こそ1つ1つ着実に暗記していくことが大切です。クエバンの問題演習はあくまでもインプットに過ぎません。そこから得られるAnkiカードこそがこの勉強法の肝になります。言い忘れましたが、予備校のレジュメや参考書を使っている人はPDF化(OCR処理も)してデジタル管理しておくことをお勧めします。これだけでAnkiカードを作る効率が格段に上がります。

f:id:sintaro515:20210208174559j:plain

Anki (講義資料を元に解答を作成)

f:id:sintaro515:20210208174732j:plain

Anki (QB onlineの解説から穴埋め問題を作成)

勉強に対する考え方に大きな変革がもたらされた結果、自らの興味の方向性も大きく変化しました。挫折していた当初はかなり自己啓発系の動画や本を読んでいたのですが、最近は科学や政治、経済、金融および日本史や外国史に興味を持ち、暇な時によく勉強しています。他人の意見は時には有用ですが、あくまでもそれは事実が主観によって改変された二次情報に過ぎません。ましてや、その二次情報に関する個人の意見が書かれたSNSまとめサイトに至っては、もはや事実自体が捻じ曲げられてしまっているケースも多いです。できるたけ純度の高い情報を得ようとする営みが大切だと思い知り、「〜学」のようなしっかりと学問として確立している領域に、今は大変興味を持って接しています。「 2. 興味のある分野を増やせたこと」と「3. 他人の意見や評価を鵜呑みにしなくなったこと」は自分とって大きな成長であったと思います。
 
しかし、そうは言っても、体験に裏打ちされた知識ほど、信頼に足る情報はありません。最寄りのコンビニまでの道をどれだけネットで調べても、実際にコンビニまで行ったことがある人には、道案内において絶対に敵わないのと同じです。身体的な営みから得られる副次的情報こそ、その情報の信頼性を高めることに大きく寄与します。去年の反省点として、この「体験的学び」が少なかったことは残念に思います。去年はコロナ禍によりその機会が一方的に奪われたことは否めませんが、しかしコロナのせいにして体験的な営みから逃げてきたことも少なからずありました。今年こそはもっと主体的に何事にも挑戦していきたいです。
 
最後に、私の勉強遍歴をまとめて終わりにします。長い時間お付き合い頂き、ありがとうございました!
 
 
4年生
    12月:medic media『Q Assist(当時は無料β版)』開始
    1月:CBT 本番
    2月:『USMLE step1 Q&A』開始
    3月:medic media『Q Assist』終了(救急と公衆衛生は除く)
 
5年生
    4月:『QB online 2019』1周目問題 開始
    5月:『QB online』1周目問題 終了
    6月:『Uworld』開始
    7月:以降、勉強はずっとUworldのみ
 
6年生
    4月 : 春MEC模試
    5月:USMLE step1模試 受験 → スコア160で惨敗
    6月:『QB online 2020』1周目問題 開始
             大阪会場行きの飛行機が欠航となり、USMLEの受験を断念
    7月:夏MEC模試
    8月:卒試勉強開始(途中で卒試に対する不満が限界に達し、2週間勉強中断)
   10月:卒業試験
   12月:medic media模試
    1月 :冬MEC模試
    2月 :医師国家試験 本番